前回本欄で簡単に触れたDASHについて、少し詳しく書きます。
果物、野菜、木の実、魚、乳製品を増やせ、牛、豚肉や菓子を減らせといっても、これではあまりにも漠然としていて、日々の食事療法の指南にはなりません。しかしDASHの場合、幸いなことに比較的詳しい資料(A4で24ページ)が無料で手に入ります。問題は、この資料がアメリカ人向けに書かれていることで、当然英語です。もっとも、中国語やフランス語だったら完全にお手上げですから、それを思えばラッキーです。個人的には中華やフレンチの食事療法メニューには大いに興味をそそられますが、それはまた別の機会に取り上げましょう。
さらに、注意すべきは単位です。以下の文章中の単位は次のように読み替えてください。1オンス=約28グラム、ティースプーン1=約5ミリリットル(小さじ相当)、テーブルスプーン1=約15ミリリットル(大さじ相当)、1カップ=約237ミリリットル(日本の1カップ=200ミリリットルよりかなり大きめ)。
さて、本題。DASHの基本的な考え方はこうです。食品を8つのグループに分けるべし、一日の必要エネルギーに応じて各グループをバランスよく取るべし、塩分制限にも留意すべし。
具体的なグループ分けはこうです。1.穀類および穀類製品、2.野菜、3.果物、4.低脂肪または無脂肪の乳製品、5.肉類(家禽および魚)、6.木の実・種・豆、7.油脂、8.甘いもの。
各グループの振り分けは、2000カロリー(DASHではこれが基本)の場合でこうなります。穀類7~8、野菜4~5、果物4~5、乳製品2~3、肉2以下、木の実一週間に4~5、油脂2~3、甘いもの一週間に5。当然、何のどのくらいが「1」なのかもいちいち決められています。以下はすべて1です。食パン 1切れ、生野菜 1カップ、オレンジジュース 6オンス、牛乳 8オンス、調理した肉 3オンス、ナッツ 1/3カップ、ソフトマーガリン ティースプーン1、砂糖 テーブルスプーン1。なお、ここでいう「1」は、糖尿病の食品交換表の1単位とは違いますので注意してください。
具体的なメニューを紹介します。
このとおりに作る(食べる)と、ナトリウム2400ミリグラム(食塩換算で約6グラム)、総カロリー2011、穀類5、野菜3.75、果物6.67、乳製品3、肉1.67、木の実1、油脂2、甘いもの0になるそうです。先に示した目安から多少外れていますが、数日以内に帳尻を合わせればいいとあります。結構アバウトです。
以上がDASHのエッセンスですが、いかがでしょうか? 興味ある方は、ぜひ原典にあたってください。私は、もう少し勉強して和風にアレンジしてみたいと思っていますのでお楽しみに。
「くらしと医療」2004年9月号