鼻血の話

鼻血というからには、鼻の穴から血が出るのは当たり前、、、でしょうか?鼻は喉までつながっているので、鼻から出た血が喉に回ってもおかしくないはずです。しかし、大半の鼻血では、血液は鼻の穴から出ます。何で?もちろん理由があります。

鼻血で、鼻全体から出血することはまずありません。それどころか、大半の鼻血は、ほぼ決まった比較的狭い場所からの出血です。この場所は「キーゼルバッハ部位」と命名されており、鼻の真ん中の壁(鼻中隔といいます)の前下方です。もう、おわかりですね。その「ほぼ決まった場所」が鼻の前の方にあるので、鼻血の時は前から、つまり鼻の穴から血が出るのです。

それ故、鼻血への対処方法も上記を踏まえたものとなります。たいていの鼻血はこれで止められるはずです。

  1. 上を向かないこと、横にならないこと

    鼻血の時は「座って、しかも気持ち前かがみで休め」が原則です。
    下を向いているとどんどん血が出てくるので、多くの方は上を向きますが、これはダメ。鼻の穴から血が出なくなっても、出血そのものが止まっているわけではありません。
    また、安静にということで横に寝てしまうのもダメ。寝ると血液が喉に回って気持ち悪くなるし、鼻のどこから出血したのかわかりにくくなります。
    うっかり上を向くとか横になるとかして喉に血が回ってしまった場合は、口をゆすいで下さい。その際も、上を向いてガラガラと喉を鳴らす、所謂うがいはダメです。歯医者さんでやるようなぶくぶくうがいを、下を向いてして下さい。

  2. 基本は圧迫、外側から下の方を押さえること

    鼻血が出たら、まずは圧迫で対処しましょう。圧迫の基本は「外側から押し付けるように」です。最低でも5分間は押さえること。15分が一応の目安です。
    出血部位は「鼻の真ん中の壁の前下方」なのですから、外側から、鼻の下の方(押すと鼻の穴が塞がるくらいの場所)を押し付けるのが、最も理にかなった圧迫法です。鼻の上の方(眼鏡の鼻あてが当たるあたり)を押さえても、詰めものをしてそれを下から上へ奥に突っ込むように押さえつけても、残念ながら有効な圧迫にはなりません。
    それでも止まらなければ、詰めものをします。
    詰めものとしては綿球やタンポンがいいです。ただ、普通の家にはあまり置いていないので、その場合はティッシュでとなりますが、これには賛否があるようです。詰めものは適当な大きさのものを一つにします。そうでないと、奥に入ったものを取り出すのが大変です。詰めたあとも、もちろん圧迫です。最低5分、理想は15分です。

最後に一番大切な注意です。「あわてないこと」


「くらしと医療」2013年7月号


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