木暮医院院内報 2000年春号

病気と体の関係・・・「治療」と「治癒」

さて、今回は治療と治癒について考えてみましょう。

まず、治療と治癒の違いは? との問いに、簡単に答えると、
治療はその人の外から加えられ、治癒は内からもたらされる、と答えて
間違いではないでしょう。

例として、1番身近な「風邪」をあげてみましょう。

一般にまず悪寒を感じ、そのうちに喉のあたりに違和感を覚え、
ひどくなると痛みに変わってきます。
そのうちに、熱がでるようになり、この辺で、
取りあえず家庭薬を飲んで様子を見る方や、
医者に行って治療を受けようとする方がでてきます。

もちろんここで、家庭薬を飲むのと医者で診察を受けて、
薬を処方されるのと同じだと言っているのではなく
(そうでないと医者の存在意義がなくなってしまうかもしれませんので・・・)
医者が診察する以上、この患者さんは気管支炎や肺炎ではなく、
その他の熱をだす病気でもなく
「いわゆる風邪である」という診断をしているわけですから。
その辺は医者に行っても仕方ないと思わず、是非いらして下さい。

いずれにしろ治療(この場合、薬を処方する)を行うわけです。
薬が効けば、症状は緩和します。
熱は幾分下がり、喉の痛みも薄らぎ、
咳や痰の薬でそちらの症状も楽になり、
そうこうしているうちに体の調子が元に戻り、風邪が治る。
すなわち治癒に至ると言うことです。

この「そうこうしているうちに」が問題なわけです。
つまりこの間に体に備わっている、治癒系がより働きやすくするのを
外から手助けをすることだと思います。

病気が治る=治癒、とはその人本来の治癒系が働いて、
体を健康な状態に戻すこと。


治療とはその治癒系の働きを外から補助すること。

つまり、何を言いたいかというと、
日頃の健康が病気の治癒を決めるという、
ごく当たり前のことなのですが、
改めて認識しておいていただきたいと思います。

                                    
木暮正美
2000年 3月発行


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